住吉人(すみよしじん)
(更新)
学生と地域が育つ東住吉から、社会人基礎力を磨く学びを
今回の住吉人は、東住吉区湯里にある1935年創立の学校法人城南学園の大阪総合保育大学短期大学部 現代生活学科 教授 学科長・中津 功一朗(なかつ こういちろう)さん。
女性の自立という概念がなかった昭和10年の創立以来、女性が社会の第一線で活躍できる時代を見据えた育成を目指し、城南女子商業専修学校が設立されました。その後、大阪城南女子短期大学を経て、2025年4月より名称が「大阪総合保育大学短期大学部」となりました。そんな新しくなった短期大学で学科長をされる中津教授にお話を伺いました。

元々はコンピューターの分野でシステムやAIに関わっていました。その後こちらに着任しましたが、当初は大学といえば4年制しか知らなかったので、2年制という短期大学という形に戸惑っていました。当時、短大といえば資格取得を重視する教育が主流でした。しかしその一方で、私は「資格取得だけで本当に良いのだろうか」という疑問を持つようになりました。資格のためだけに学ぶのではなく、社会の中で本当に求められている力は別にあるのではないかと考えるようになりました。
短大は、4年制大学に比べて、社会に出るための現場実践を含めた社会人基礎力が求められることが多く、その中で「社会で活躍する学生=資格」と捉える学生も少なくありません。しかし本来は、資格だけでなく、実際の現場に入りながら学ぶことこそが重要であり、その点においては短大のほうが強みを持っていると考えています。
社会が求める即戦力って、お客さんの話を丁寧に聞く力であったり、自分がやりたいことを実現するためにどう計画をしていくのかと考える力だったり、上司と同じ温度感で一緒に働いていこうと思う力だったり。もちろん基本となるパソコンスキルなども教えますが、本当の意味で企業側の人たちが、こういう若い人と働きたいなと思ってもらえる即戦力を鍛えあげたいと思っています。
短大の学生に限らず、今の若い人たちは「自分のアイデアで面白い仕事がしたい」「こういうことができる人になりたい」といった思いを持っています。しかしその一方で、自信が持てずに一歩を踏み出せない学生も多いと感じています。だからこそ、専門的な資格取得だけにとどまるのではなく、幅広い経験を通してさまざまなことに触れさせ、その中で学ぶことの面白さを実感できるよう、社会とつながる機会を提供することが重要だと思っています。

現代生活学科では、興味のある仕事の分野で知識や技術習得を全力でサポート。

長居公園通りと今里筋沿いにある大阪総合保育大学短期大学部。
本学では毎年夏に生涯学習講座を東住吉区と一緒に協力してやっていました。
その中で区役所の方と知り合う機会があり、地域をより良くしていく活動について協力のご相談をいただきました。本学としても、文部科学省が推奨する「センター・オブ・コミュニティ」の取り組みの一環として、地域連携を進める中で協力させていただくこととなりました。その流れで、私が主担当を務めることになりました。これが約13年前のことです。
それ以降、企業の方々と知り合う機会も増え、大学と連携した取り組みへのご相談をいただくようになりました。企業の方々と協力しながら地域を元気にしていきたいという思いのもと、商品開発の取り組みが始まりました。また、東住吉区のタウンアドバイザーを約2年間務め、その後は区政会員として、地域の方々と関わる機会も広がっていきました。
私の所属する学科では、他の先生方の協力のもと、地域と連携した商品開発にも取り組んできました。具体的には、オリジナルコーヒーやカレー、かまぼこ天の開発に加え、味噌を活用したレシピ開発、食品サンプル技術を応用したアイテム、オリジナルボードゲームなど、幅広い企画・開発を行っています。コーヒーについては、郵便局において定期的に販売していただいています。
また、私自身は、まちづくりを進めている方々とのミーティングに参加し、大学の立場として、地域の今後のあり方や可能性について意見交換を行ってきました。現在も、矢田地域のまちづくりにおいて中心的に活動されている方々と連携しながら、継続的に関わらせていただいています。
地域に根ざした大学として関わる中で、まちづくりを推進する方々の取り組みに対し、大学としてどのように応援し、支えていけるのかを意識しながら取り組んでいます。
当初、大学としての関わり方や学生の役割について説明を行った際には、意図が十分に伝わらず、学生がイベントにおける自転車置き場の整理や交通整理など、単なるボランティア的な役割として捉えられてしまうこともありました。しかし、そのような関わり方では、学生の学びにはつながりません。
企業の方や店舗の方と共通のテーマのもとで意見を交わし、評価やフィードバックをいただくことこそが、学生にとって大きな学びにつながると考えています。そのため、こうした意図を丁寧に伝えていくことは難しさもありますが、非常に重要であると感じています。
その後、学生が関わる中で具体的な成果が見えるようになるにつれ、関係する方々にも取り組みの意義をご理解いただき、スムーズに受け入れていただけるようになりました。
学生たちに学んでほしいと考えているのは、自分たちの視点に加え、「企業の視点」と「お客さまの視点」を持つことです。学生はどうしても自分たちの立場から物事を捉えがちですが、それに加えて異なる立場の視点を体験し、実感することで、大きく成長していきます。
商品開発においては、こうした多様な視点を踏まえて考えることが非常に重要です。自分とは異なる立場の考え方や感じ方に触れ、その感覚を身につけていくことこそが、実践的な力につながると考えています。
また、「面白がる」という姿勢は私自身が大切にしているだけでなく、学生たちにも共有したい考え方です。物事を前向きに捉え、楽しみながら取り組むことで、新しい発想や挑戦が生まれると考えています。

企業の方々と開発をおこなう上で大切なディスカッション。

出来上がった試作品を前に、関わったメンバーと記念撮影。
企業の方々と連携して取り組んできた中で、形になったものの一つに「防災ロッカー」があります。これは、平常時はロッカーとして使用し、災害時にはトイレや個室空間として活用できるもので、複数の企業と大学が協働して開発を行いました。大阪・関西万博の大阪ヘルスケアパビリオンでも展示され、来場者への説明も行いました。
この取り組みに関わった企業は、必ずしも防災を専門としているわけではありません。大学側が社会課題を提示し、それに対して企業の方々から技術や知見をいただきながら、社会貢献の一つとして共に形にしてきたものです。この過程を通して、企業の知識や多様な立場の意見をつなぎながら、大学がハブとして機能することの重要性を強く実感しました。
そして、こうした技術や知識を、どのように社会へとつなぎ、広げていくのかを考え続けることも、大学教員としての重要な役割であると考えています。
また、「防災ロッカー」は防災について考える一つのきっかけとしての取り組みですが、万博での展示を終えた後も継続的に検討していく必要があります。そのため、共感していただいた企業の方々と、現在も週に1回程度の勉強会を継続しています。ご多忙な中でも「学びの機会として価値がある」と言っていただいており、こうした対話と共創の場をつくり続けることも、自身の役割の一つであると考えています。今後も継続していきたいと考えています。

多機能型防災ロッカー開発のため、学生と地元企業が連携しました。

新しい防災ロッカーは、平常時はロッカーとして、災害時はトイレや個室に変身。

※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。

中津 功一朗さん(大阪総合保育大学短期大学部 現代生活学科/教授 学科長)vol.3
学生と地域が育つ東住吉から、社会人基礎力を磨く学びを

大河 利光さん(関西みらい銀行 住吉中央支店/支店長)vol.2
住吉区の地域密着型銀行として、安心のサポートを

細川 真吾さん(一般社団法人 大阪府宅地建物取引業協会/なにわ南支部 支部長)vol.1
住吉区で30年、ライフステージに寄り添う住まい相談を
大阪市阿倍野区昭和町5-10-24
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